こんにちは、鉄飛テクノロジーの岡田です。
先日、相談相手と、こんな話をしました。
「岡田さん、日本って結局、雇用を切ったりしないんで、みんなでAIを使って、一見落ちそうに見えて、実はもう結果的にすごいパワーを持つんじゃないかと思ってるんですけど」
私は、こう返しました。
「はい、二十年ぐらいしたら、日本の時代が来ると思ってます」
ちょっと、大きな話をします。
今、アメリカのIT業界では、大変なことが起きています。ソフトウェアサイエンスで大学の学位を取っても、新卒の就職口がないのです。理由は、プログラマの仕事を、AIがやってしまうから。企業は、若手を育てるコストをかけるより、AIを使う方が早くて安いと判断している。
これ、短期的には、企業にとって合理的な判断です。人件費が浮く。育成期間もいらない。すぐに成果が出る。
でも、少し長い目で見ると、恐ろしい事態です。
若手が経験を積めない、ということは、ベテランが育たない、ということです。今、五十代、六十代の優秀なプログラマたちは、二十年後には、みんな引退します。その時、代わりに現場を回すシニア人材が、いない。育っていない。
アメリカのIT企業は、二十年後、深刻な人材危機を迎えると思います。表面的には、AIが全部やるから大丈夫、と見えるかもしれません。でも、AIを設計する人、AIの結果を判断する人、AIが間違えたときに戻せる人──こういう本当に難しい仕事は、経験を積んだ人にしかできない。
その経験を積む機会を、若手から奪ってしまった。だから、二十年後、上のシニアたちが引退したとき、上に立てる人がいなくなる。
一方、日本はどうでしょう。
日本の企業は、良くも悪くも、雇用を簡単に切りません。「AIで、この人の仕事は要らなくなった」となっても、その人を、別の仕事に配置転換します。教育を続けます。下積みの仕事を作って、育てます。
短期的には、これは非効率に見えます。「無駄な人件費」と批判される。「日本の企業は、決断力がない」と言われる。
でも、二十年後、この方針が、逆転勝利をもたらすと思います。
日本には、AI時代の下でも、経験を積んだ若手が、育っている。ベテランになった時、判断できる人が、たくさんいる。人と人との、業務上の連携ができる人が、いる。
アメリカにはいなくなった「人間の判断者」が、日本にはたくさんいる。
これは、大きなアドバンテージだと思うんです。
もちろん、二十年後、私も相談相手も、現役ではないかもしれない。もっと言えば、AIの進化で医療も変わって、人間が二百歳まで生きるようになれば、まだ現役かもしれませんが──それは、また別の話です。
私たちの世代がやるべきなのは、この「日本らしい育成の遅さ」を、恥じることではないと思います。むしろ、これを、しっかりと守っていく。若手に、地味だけど大事な仕事を、任せていく。AIが便利になったからといって、若手を切らない。
そして、私たちのように、ファイル管理という地味な分野をずっとやってきた会社が、これから輝く時代が来ると思っています。
派手なAIの話は、あっという間に変わっていきます。でも、業務の根っこにあるファイル管理は、ずっと変わらない。それを、地道にやってきた技術と、それを回せる人材が、日本にはある。
「派手ではないけれど、確実に、少しずつ、業務を良くしていく」──これができる会社が、日本には多い。私たちも、その一つでありたいと思います。
二十年後、また、この記事を読み返せたら、いいなと思います。