こんにちは、鉄飛テクノロジーの岡田です。
打ち合わせの中で、私はある時、こう言ってしまいました。
「AIに丸投げしてなんとかなると思っている人は、甘えてんじゃないか」
言った後で、少しきついかなと思ったのですが、相手は笑いながら「それ、いいですね」と言ってくれました。
なぜこう思うのか、書いておきたいと思います。
最近、うちに来る相談の中に、「社内でChatGPTのようなものを作りたい」「RAGを構築したい」「AIエージェントに、社内の業務を任せたい」というものが増えています。
すごく、いいと思います。方向としては、正しい。
でも、話を聞いていくと、多くの会社で、こういう状況になっています。
社内のファイルサーバは、混沌としている。同じ名前のフォルダが3箇所にあって、どれが最新か分からない。ベテランしか知らない命名規則がある。誰が権限を持っているのか、管理者も把握しきれていない。
その状態で、AIを繋ぐ。すると、どうなるか。
たとえば、「この製品の最新の仕様書は」と聞く。AIは、社内のファイルサーバを検索する。同じような文書が、3000件見つかる。
問題はここからです。AIは、その3000件をぜんぶ読みません。最初に見つかった3件くらいを読んで、「これが最新の仕様書です」と、堂々と答えてくる。人に「他にもあるかもしれませんが、確認しますか」とは聞き返してこない。知ったかぶりで答える。
これで、社員は「AIは使えない」と結論を出します。プロジェクトは失敗と判定されます。担当者は責められます。
でも、悪いのはAIではありません。悪いのは、混沌としたデータを、そのままAIに渡した、その判断です。
私は最近、社内向けにこう説明しています。
AIは、優秀な新人だと思ってください。頭は良い。処理速度も速い。でも、社内の常識は何も知らない。「うちの部署では、最新版はここに置くルールになっている」「あの製品の仕様書は、命名規則が特殊で、ここに固まっている」──そういうことを、一切知らない。
普通の新人が入ってきたら、私たちは新人教育をします。「うちのルールはこうだよ」「ここにあるのは古いから見ちゃだめだよ」と、丁寧に教えます。
なのに、AIには新人教育をせずに、即戦力として使おうとする。これが、うまくいくはずがない。
「AIを入れる」ということは、「新人を雇う」ことに近い。新人には教育がいる。何がどこにあるか、何が古くて何が新しいか、誰に聞けばいいのか──最初に教えてあげないと、いい仕事はできない。
うちの製品、FileBlogは、この「新人教育」の部分を、地味にずっとやってきた製品です。全文検索で、混沌の中からでも一応たどり着けるようにする。タグで、後から分類を足せるようにする。権限管理で、誰が何を触れるかを、管理者が握れるようにする。
これは、AIを載せる前の、土台の仕事です。
土台がある会社は、AIを載せた瞬間から、答えが出せます。土台がない会社は、AIを載せても、答えが返ってこない。
このサイト、fileblog.teppi.com は、その土台の話を、たくさんしていくつもりです。
「AIに丸投げすれば楽になる」という空気に、少し逆らって。